ルーティンワークしかできない社員にいらだつ社長のフラッグ

『ザ・ベストフラッグ』エピソード1

このお話の主な登場人物
  • 『ザ・ベストフラッグ』店主 黒縁眼鏡のWebコンサルタント
  • 『ザ・ベストフラッグ』看板フラッグ犬
  • 今回の悩める社長
  • 会社の現キーマンと社員のみなさん

ここは、悩める経営者だけに見える店『ザ・ベストフラッグ』。
人知れず、中小企業経営者に悩み解決のヒントを手渡している、秘密のブログです。

偶然立ち寄ったあなたを待ち受けるのは、会社の業績アップか、社員のモチベーションアップか、それとも…
店主のもとには色とりどりのミッションフラッグが用意されています。

どのフラッグを手渡されるかは、各社長の悩みしだい。
ご覧ください。今日のフラッグにはこう書いてあります。

目次

「企業活動とは?という質問を社内で誰かに投げかける」

手渡された経営者は、このミッションを遂行しなければなりません。
と、その前に、企業活動とは何かをおさらいしておきましょう。

企業活動とは

顧客・市場のニーズにあわせて、資金や人材を調達し、
製品またはサービスを創出・販売して経済活動を行うこと

『ザ・ベストフラッグ』店主が、飼い犬におやつをあげながら、一人つぶやきます。

『企業活動とは何かなどという初歩的な質問を投げかけて、いったい何になるんだと思われる経営者さんもいらっしゃるでしょうね。ですが、意外とこの基本中の基本を忘れて迷走している社員さんもいるものなのです』

黒字も赤字も紙一重。
あなたの会社を動かす、現在のキーパーソンははたして誰なのでしょう?

今回も、何も知らない社長が一人、会社と事業の分岐点『ザ・ベストフラッグ』へやってきたようです。
まずは社長の現在の悩みからご覧ください。

ようこそ。悩み深き経営者にしか見えない路地裏へ

4年前にスマッシュヒットしたガジェットが、今も変わらず売れ行き好調な中小電気機器メーカーの社長。
社員数55人、年商46億円の企業を率いるやり手社長です。

毎日会社では、多くの社員が主力ガジェットの受注や発注業務、工場の作業管理に追われています。
どの社員も、「このルーティンさえこなしていれば、一生安泰」のような顔つき。

5年以上も前、悲愴な覚悟で企画開発していたときに社内にみなぎっていた熱さも危機感も、今ではどこかへ消え失せました。

世の中は日々変わっています。市場の動きは残酷で、明日このガジェットが売れているかどうかはわかりません。
顧客の一歩先を行くニーズを、なぜ考えないのか。社長は毎日悶々としていますが、社員は「社長のムシの居所が悪い」「二日酔いか?」くらいにしか思っていない様子です。

社長は何より、創業20年にもなろうとしている会社で、「人を育ててこられなかった自分」に一番腹が立っています。

「社長、いつまでもこのガジェットにしがみついてたら、会社の将来はありませんよ」
そう言ってくるやつは一人もいないのか。いや。いないのは、自分自身のせいだ。

社長はうなだれて、帰宅の途につきます。

ふと顔を上げると、見慣れない路地。
その奥からは、不思議な灯りが見えました。社長は吸い込まれるように、見慣れない一軒のWeb商店に入っていきます。

Web商店のなかにいたのは謎のWebコンサルと飼い犬

社長は店のなかにいた謎のWebコンサル店主の顔を見たとたん、自分でも不思議なくらい、悩みを打ち明けたくてたまらなくなりました。

テーブルの端と端に向かい合って座る2人。
社長の思いや悩みを黙って聞いていた黒縁眼鏡の店主は、目の前に美しく並べた色とりどりのフラッグを眺めながら、しばらく小首を傾げて思案します。

やがて店主は1つのフラッグを選び取ると、隣で待ち構えていた犬に背負わせ、犬は背負ったフラッグを、テーブルの向こうの社長まで届けました。

「社長、このフラッグをお使いになってみてください。もし使い方を間違えたら、私が助けますからご安心を。ただ、注意事項が裏に書いてありますので、必ずそれを守ってください」
社長はゆっくり頷くと、そのフラッグの表面に目をやりました。

「企業活動とは?という質問を社内で誰かに投げかける」
そう書かれていいます。

こんなことが、なぜ自分の悩み解決につながるのか。半信半疑のまま、フラッグを握りしめた社長は、路地裏を後にしました。

社長がフラッグを立てたのは誰か

店主の言いつけどおり、フラッグの裏を見てみると、そこにはこう書かれています。

「質問する相手の肩に、このフラッグを立ててください。社長以外にはこのフラッグは見えません。ただし、人選を誤ると、悩みが倍増する危険があります。」

社長は青くなって、社内の誰が悩み解決のキーマンとなり得るかを熟考しました。

結局社長は、いまヒット中のガジェットを、数年前ともに立ち上げた事業部長の肩にフラッグを立てることにします。
そして出社後、頃合いを見計らって背後から近づき、部長の肩にフラッグを立ててみました。
すると部長はふり返り、「お呼びでしたか?」と言うではありませんか。

さあ、ミッションです。

「な、なあ。企業活動って、なんなんだろうな」

取ってつけたような社長からの問いかけに、事業部長はフリーズします。なんだ、この感じ。おかしい。何かを求められている。

しかし、それよりも部長は、この頃どこかで感じていた「このままでは会社は低迷する」という危機意識を自分の内部にはっきりと確認し、ズキリとした痛みを覚えます。
それは罪悪感にも似た感覚でした。いまの自分の覇気のなさを、社長は見抜いているのです。

社長が言わんとすることを察した部長は、「社長に皆まで言わせない」というつもりで、人知れず自社や競合などの環境分析を始めました。
自ら、新たな顧客ニーズを模索し始めたのです。

社長はフラッグを立てただけなのに社員の様子が激変

絶妙なタイミングで開催された月例ミーティング。
肩にフラッグが立ったままの事業部長は、部下から不意打ちの報告を受けます。

これまで好調を維持してきたわが社の看板ガジェットが、急激に売上を落としているというのです。
部長は、待ってましたとばかり、ここ最近密かに続けてきた分析結果と顧客ニーズを部下たちに報告します。

座全体から自分を目がけてくる、尊敬の眼差しが痛い。
部長は背中に羽が生えたような気分になりました。

社長は、ここまで見越して、あのたった一言の質問を自分に投げたのだろう。なんてすげえ社長なんだ。おれは絶対に社長の期待に応える…
そんな部長の様子を窺っていた社長は、思わずつぶやきます。

おれ、フラッグをもらって帰ってきただけなのに。

あのWebコンサル店の、あの奇妙な店主と、そのうち祝杯をあげられるだろうか。
『ザ・ベストフラッグ』店主の声が、誰もいない路地裏に響きます。

『社長、ナイスフラッグ! またお会いしましょう』

社長は、事業部長の肩に立っていたはずのフラッグが、いつのまにか消えていることに気づいていません。
さて、この会社の行方はいかに。

*このブログのお話は創作です。

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