【2026年改定】環境表示ガイドライン|中小企業の環境PRの注意点

目次

【はじめに】

「環境にやさしい会社です」「地球にやさしいものづくり」——。会社のホームページや会社案内で、こうした言葉を使っていないでしょうか。

2026年3月31日、環境省は「環境表示ガイドライン」を改定しました。前回の改定(2013年)から13年ぶりです。このガイドラインは、商品のラベルや広告だけでなく、事業活動や企業姿勢を伝える表示も対象にしています。
つまり、ホームページの「環境への取り組み」のページも、無関係ではありません。

先に結論をお伝えすると、脱炭素の取り組みを発信するときは、「環境にやさしい」「エコ」といったあいまいな言葉だけで済ませず、対象の範囲と根拠(数字・期間・方法)を添えることが、信頼される発信の基本です。

この記事でわかること
  • 2026年3月の改定で何が変わったか(5つの基本項目)
  • ガイドラインが、単独では使わず説明文を付けるよう求める9つの表現
  • 景品表示法との関係
  • 発信の基本:範囲・根拠・継続
  • ホームページ・会社案内・SNS・採用ページの書き換え例
  • 発信前のセルフチェックリスト
  • 取り組みを「育てる」発信の続け方

2026年3月、環境表示ガイドラインが改定された

環境表示ガイドラインは、事業者が環境に関する表示(環境表示)を行うときの考え方をまとめた、環境省の指針です。2008年に初めてつくられ、2013年3月の改定を経て、2026年3月31日に「環境表示ガイドライン【令和8年3月版】」として改定されました。

中小企業にとって大事なのは、適用範囲です。
ガイドラインの冒頭には、「製品又はサービスの取引に直接的な関係のない環境表示(事業活動、イメージ広告、企業姿勢等)も適用範囲に含まれます。」と書かれています。
商品を売っていない会社でも、ホームページで「環境に配慮した経営」を紹介していれば、その表示もこの考え方に沿って見られる、ということです。

改定後の5つの基本項目

No.基本項目(ガイドラインの文言)ひと言でいうと
①「あいまいな表現や環境主張は行わないこと」ふわっとした言葉で済ませない
②「環境主張の内容に説明文を付けること」何が、どう環境によいのかを書く
③「製品のライフサイクル全体を考慮すること」一部だけを切り取らない(今回の改定で新設)
④「環境主張の検証に必要なデータ及び評価方法が提供可能で、情報にアクセスが可能であること」根拠のデータを出せるようにし、見られるようにしておく
⑤「製品又は工程における比較主張は LCA 評価、数値等により適切になされていること」比べるなら、数字と根拠で
  • 環境省「環境表示ガイドライン【令和8年3月版】」をもとに作成。③が新設され、旧版の検証データの提供と、情報へのアクセスの項目が④にまとめられました(環境省「環境表示ガイドラインの改定要旨(案)について」より)。

なお、今回の改定には経過措置が設けられていません。環境省は意見募集への回答で、「本ガイドラインは、経過措置等の設定にはなじみませんが、一定の時間がかかることは承知しています。」としています。
環境省は、できるだけ早い時期に切り替えることが望ましいともしています。すでに公開しているページも、見直しの対象と考えておきましょう。

グリーンウォッシュと受け取られやすい表現

グリーンウォッシュとは、実態以上に環境に配慮しているように見せることです。意図していなくても、言葉の選び方ひとつで、そう受け取られることがあります。

単独では使わず、説明文を付ける9つの表現

ガイドラインは、次のような表現について、「あいまいな表現や環境主張は行わないか、行う場合は単独では行わず、必ず合理的な説明文を付けることが求められます。」としています。

説明なしでは使わない9つの表現

環境に安全/環境にやさしい/地球にやさしい/無公害/グリーン/自然にやさしい/オゾンにやさしい/持続可能/〇〇を含まない(条件付き)

「持続可能」が入っている点は、意外に感じるかもしれません。
また、「エコ」という言葉はこの一覧にはありませんが、ガイドラインは「上記は例示であり、これらに相当する表現も使用を避ける必要があります。」としています。どの言葉も、使うなら必ず「何が・どれくらい」を添えましょう。

ちょっと深掘り:「削減」と書くと、読み手は「半分以上」と受け取る?

消費者庁が2026年8月に公表した「環境ラベルに関する実態調査報告書」(消費者1,000名)では、プラスチックの削減をうたうラベルを見て、削減率が50%程度以上だと思う人が80.1%いました。
文字やイラストだけのラベルを見て、「何かしら環境に配慮した『エコ』なものだと思う」と答えた人も55.1%いました。
書き手は「少し減らした」つもりでも、読み手は大きく受け取ることがあります。数字を添えるのは、正確さのためだけでなく、期待とのずれを防ぐためでもあります。

カーボンニュートラル・オフセットの表示

「カーボンニュートラル」だけを扱う項目はありませんが、ガイドラインには「温室効果ガス排出に関する主張」の項目があります。カーボンオフセットについては、関連する指針や「ISO 14068-1などの適切な ISO 規格に従って表示することが必要」としたうえで、オフセットが「自ら排出削減を行わないことの正当化に利用されることがあってはなりません。」としています。
オフセットを使っている場合は、自社で減らした分と、オフセットした分を分けて書きましょう。
製品の排出量(カーボンフットプリント)の考え方は、DPDが運営する「脱炭素ステーション.com(Dステ)」の[【脱炭素経営の基本】カーボンフットプリントとは?取り入れる目的や方法]で解説しています。

景品表示法との関係

ガイドラインそのものに罰則はありません。ただし、一般消費者向けの表示で、商品やサービスを実際のものより著しく優良であると示すものは、景品表示法の「優良誤認表示」として禁止されています。さらに消費者庁は、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができ、資料を出せない場合などは、措置命令との関係では不当表示とみなされます(不実証広告規制)。提出の期限は、原則15日です。

ちょっと深掘り:「生分解」の表示で、課徴金1,774万円

2022年12月、消費者庁は、「生分解性」をうたうプラスチック製品(カトラリー、ごみ袋・レジ袋、釣り用の疑似餌、BB弾)を販売する10社に措置命令を出しました。自然の中に残っても水と二酸化炭素に分解されるかのように示していた表示について、合理的な根拠が示されなかったためです。
その後、釣り用の疑似餌の販売事業者には、1,774万円の課徴金納付命令も出ています(2023年10月)。「環境によいことをしている」つもりの表示でも、根拠がなければ法的な問題になりうる、という例です。

発信の基本:範囲・根拠・継続

では、どう書けばよいのでしょうか。中小企業の発信では、次の3つを押さえると、ガイドラインの考え方に沿いやすくなります。

基本書くこと例(架空の会社)
範囲何の・どこの・いつの話か「本社工場の電気(2025年度)」「主力製品Aの包装材」
根拠数字・期間・比べ方・出典「工場の電気の使用量を前年度比12%削減(電力会社の請求書の使用量で比較)」
継続更新の時期と、途中経過「毎年6月に、前年度の実績を更新します」

範囲と根拠は、5つの基本項目の①②④⑤にそのまま対応します。継続はガイドラインの項目ではありませんが、根拠のデータにいつでもアクセスできる状態を保つには、更新の仕組みが欠かせません。

DPDの脱炭素経営プロモーションのページには、「弊社は単なる企業戦略や短期的なプロモーションとして環境問題に取り組む企業様とは、残念ながらあまり相性が良くないようです。」という一文があります。
発信は、取り組みの中身があってこそ。中身を、範囲と根拠と一緒に、正しく伝える。これは、ガイドラインの考え方とも重なります。

ホームページ・会社案内・SNSでの書き方の例

同じ取り組みでも、書き方で伝わり方は大きく変わります。媒体ごとの書き換え例です。

媒体書き換え前書き換え後(例:架空の会社)
ホームページ「当社は環境にやさしいものづくりを推進しています」「2025年度、本社工場の照明をすべてLEDに替え、工場の電気の使用量を前年度より12%減らしました(電力会社の請求書の使用量で比較)。2026年度は空調の更新を予定しています」
会社案内「地球にやさしい製品をお届けします」「製品Aの包装材を見直し、1箱あたりのプラスチック使用量を約30%減らしました(2025年4月出荷分から)」
SNS「エコな会社を目指して頑張っています!」「今月から、社用車3台のうち1台をハイブリッド車に替えました。燃料の使用量がどう変わったか、半年後に報告します」
採用ページ「SDGsに取り組む会社です」「省エネ委員会は各部署から1人ずつ。入社2年目の社員の提案で、工場の空調の設定温度を見直しました」
  • 例は説明のための架空のものです。実在の企業とは関係ありません。

書き換え後の文には、共通して「範囲(どこの・何の)」「数字」「時点」があります。SNSのように短い媒体でも、数字と時点は入れられます。
採用ページでの伝え方は、[脱炭素の取り組みは採用に効く?若手に伝わる「環境の話」の書き方]で詳しく紹介します。

脱炭素の取り組みを、誤解なく伝えるために

DPDの「脱炭素経営プロモーション」では、脱炭素の取り組みを、ホームページや会社案内、営業資料での発信に生かすお手伝いをしています。どの取り組みを、どの範囲で、どんな数字で伝えるか。その整理から一緒に考えます。

発信前のセルフチェックリスト

ホームページや会社案内に載せる前に、次の10項目を確かめましょう。

環境の発信 セルフチェック10項目

  • 「環境にやさしい」「持続可能」などの言葉を、説明なしで使っていない
  • 何の・どこの・いつの話か(範囲)が書いてある
  • 数字に、期間と比べ方(何と比べて何%か)が添えてある
  • 一部の取り組みを、会社全体や製品全体の話のように書いていない
  • 目標(「目指します」)と実績(「達成しました」)を区別している
  • オフセットを使っている場合、自社で減らした分と分けて書いている
  • 製品そのものの改善と、包装の改善を合計していない
  • 根拠のデータを、求められたらすぐに出せる
  • 認証やマークを使う場合、その意味を説明している
  • 最後に更新した日が分かる

7つ目は、ガイドラインに「製品に関係する改善と包装に関係する改善とは、別個に主張しなければならず、合計してはならない。」とあることによります。
迷ったときは、「この文を読んだ人が、何をどれくらい想像するか」を考えてみてください。先ほどの消費者庁の調査のように、書き手の想像より大きく受け取られることがあります。

取り組みを「育てる」発信の続け方

表現に気をつけるあまり、何も発信しなくなるのも、もったいないことです。
博報堂DYホールディングスが2026年7月に公表した「環境表示ガイドライン実践ガイドブック」でも、批判を恐れて発信を控える「グリーンハッシング」を問題として取り上げ、正しく伝えることの大切さを示しています。

  • 年1回、実績を更新する:決算や年度の区切りに合わせて、数字を新しくする
  • 途中経過を正直に書く:「目標の2割まで来た」も立派な情報。うまくいかなかったことも書いてよい
  • 取り組みのページを、営業資料や採用ページからリンクする:一度つくったページを、いろいろな場面で使う

脱炭素の取り組みは、取引先からの質問に答える材料にもなります。
営業で生かす方法は[取引先から脱炭素の取り組みを聞かれたら|中小企業が答えを準備する手順]で紹介します。

よくある質問

ガイドラインに違反すると、罰則はありますか?

ガイドラインそのものに罰則はありません。
ただし、一般消費者向けの表示が景品表示法の優良誤認表示などにあたる場合は、措置命令や課徴金納付命令の対象になることがあります。ガイドラインは、そうならないための考え方の目安として使えます。

BtoBの会社でも関係ありますか?

あります。ガイドラインは、事業活動や企業姿勢を伝える表示も適用範囲に含めています。
なお、景品表示法は一般消費者向けの表示が対象ですが、取引先向けの会社案内やホームページの取り組み紹介も、同じ考え方で見直しておくと、信頼される発信につながります。

第三者の認証がないと、環境の表示はできませんか?

できます。ガイドラインは「自己宣言による環境主張は、第三者による認証を受ける必要がありません。」としています。その分、範囲や根拠を自分で示すことが大切です。

「2050年カーボンニュートラル」のような将来の目標を書いてもいいですか?

ガイドラインに将来の目標についての明文の規定はありませんが、目標であることと、現在の実績、達成までの計画を分けて書くのが基本です。
なお、EUでは2026年9月27日から、加盟国の国内法を通じて、将来の環境性能を主張する場合に、具体的な実施計画と独立した第三者による検証を求めるルールの適用が始まっています(EU指令2024/825)。

すでに公開しているページは、すぐに直す必要がありますか?

改定に経過措置はありません。まずは、9つの表現を説明なしで使っていないか、数字に範囲と時点があるかを確かめ、トップページや会社案内など、見られる機会の多いページから直していきましょう。

まとめ

  • 環境表示ガイドラインは2026年3月31日、13年ぶりに改定。事業活動や企業姿勢を伝える表示も対象
  • 基本項目は5つ。今回、「ライフサイクル全体の考慮」が新設された
  • 「環境にやさしい」「持続可能」など9つの表現は、単独で使わず説明を付ける
  • 発信の基本は、範囲・根拠・継続。数字には期間と比べ方を添える
  • 怖がって黙るより、正しく、続けて伝える
脱炭素の取り組みを、誤解なく、営業や採用に生かす

DPDの「脱炭素経営プロモーション」では、脱炭素の取り組みを、ホームページや会社案内、営業資料、採用ページでの発信に生かすお手伝いをしています。今ある表現の見直しからご相談いただけます。


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  • この記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、法的な助言ではありません。具体的な表示の判断が必要な場合は、専門家や関係機関にご相談ください。
この記事を書いた人

松口 賢士(まつぐち けんじ)
Duo Partner Design合同会社 代表社員/Webコンサルタント・デザイナー
フリーランスのデザイナーとしてサインデザインに携わり、その後デザイン会社を経営しながら、さまざまな会社のブランディングを手伝ってきた。
100名規模の企業でブランディング事業部長を務めた時期には、複数の事業でWebやマーケティング、採用に関わり、多くのことを学んだ。
現在は「コンサルティングから始めるWeb制作」を掲げ、中小企業の経営とWebをつなぐ伴走支援を行っている。
専門学校や職業訓練校でWeb分野の講師も務める。


参考資料

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